しらたまの飲酒ブログ

日本酒ばかり飲んでいたら、他の人は消えてしまった。別ブログではその辺の雑草とか採って食べてます→ https://shiratamarr-michikusa.hatenadiary.jp/

本金の純米吟醸 無濾過生原酒

 

我が家のワインクーラー(12本入る)が空である。

幼い乳飲児がいるので、なかなか酒をゆっくり飲む時間がなくなり、短い食事の時間で酒をカッと飲むという傭兵のような酒の飲み方をしている。1.8リットルの安ワインを買ってグビグビ飲むのが最近のお気に入り。

 

昨年7月以降、長野旅行で大量に仕入れた日本酒を少しずつ楽しんでいたが、すべて無くなってしまった。買い込んだ本金も飲み終わり、春が過ぎて、初夏が再びやってきて、上司からは「最近アウトプットのペースが遅いね」と言われる始末。

 

 

本金の記憶が薄れないうちに、こうして久しぶりにブログの筆をとる。

 

 

 

 

□ 本金 純米吟醸 無濾過生原酒

 

度数 16度〜17度

精米歩合 55%

米 美山錦(諏訪産)

 

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無濾過生原酒だけあって、本金にある草っぽさ・青っぽさがありながらももっと熟れ感がある。なんだその下品な週刊誌みたいな言い回しは。

味もこんなにコクがあるのね。ザラメを舐めているようなコクと甘みの中に、ひとつまみの塩が入ったような不思議な感覚がある。そのためなのか、舌の奥の方に残る余韻が醤油煎餅を食べた後にほんの少しだけ似ている。たぶん伝わらないですねこれ。

 

 

本金って、過去にも書いてきたとおり、信州の黒髪ロング田舎美少女が大学に進学してちょっと垢抜けたっていうそういうタイプの子なんですけど、この無濾過生原酒は、少し汗ばんだ彼女の姿を彷彿とさせる淫靡さがあるような気がしますね。

 

飲むたびに、本金のイメージが少し本金のイメージが少しずつ僕の中で変容していっています。

 

『マリア様がみてる』のキャラたちの日本酒の呑み方について

 

ご機嫌よう。

 

 

オタク文化の拡大と深化にしたがい、百合あるいはガールズラブというジャンルは、人口に膾炙するようになってきましたね。様々な人気作が出てきた今日においても、なお褪せることなく光を放ち続けている作品があります。そうです、百合コンテンツの金字塔、『マリア様がみてる』(通称マリみて)です。

 

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単純な少女同士の恋愛という狭い関係性にキャラクターを押し込めることをせず、尊敬、姉妹愛、憧れ、普通の友情、恋愛未満の友情と、様々な愛のかたちが繊細かつニュアンス豊かに描かれているのが、その絶大な人気の所以でしょう。

 

 

マリみては武蔵野にあるミッション系のお嬢様女子校・私立リリアン女学園が舞台です。主人公たちは当然高校生なので、作中に飲酒シーンは残念ながら直接的には出てきません。

しかし、実はマリみての主要キャラクターのほとんどが、成人してから日本酒呑みになっています。しかも、彼女たちの日本酒への向き合い方が、非常に彼女たちのパーソナリティを反映しているとの見方もあり、一部のマリみてファンによって考察が進んでいるところです。

 

 

 

今回は、マリみてのキャラクターたちを、日本酒というフィルターを通して眺めてみたいと思います。彼女たちが日頃どんな酒をどのように呑んでいるのかーーーそこから、本作の魅力を伝えることが本稿の試みです。

 

 

 

マリみてには、メインとなるキャラクター(= 「山百合会」と呼ばれる生徒会のメンバー)だけでもけっこうな人数がいるので、今回は試行的に、主人公の学年の3人のみに絞って見てみましょう。

 

スコーンとクロテッドクリームと日本酒を用意しながら、ゆったりとお読みください。

 

 

 

 

1. 藤堂志摩子

 

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いきなりですが、志摩子さんはマリみての主人公ではありません。マリみての主人公は福沢祐巳であり、志摩子さんは祐巳の同級生にして、山百合会のメンバー同士という関係。

 

何を隠そう、この志摩子さんは私のツイッターのアイコンの人です。

 

 

なぜ志摩子さんを最初に紹介するかというと、彼女がマリみてキャラ随一の酒豪だからであり、これはマリみてファンの誰しもが賛同するところとなっています。

ちなみに、志摩子さんと双璧をなす酒豪は、志摩子さんの1つ上の学年の支倉令様と言われており、中の人(伊藤静さん)が酒豪であることに鑑みても、この見解は真っ当なものであるように思われます。

 

 

志摩子さんは「フランス人形のよう」と称えられる美少女であり、同時にミステリアスで物憂げな雰囲気をまとっているけれども、その実は銀杏大好きっ子。秋になると昼休みに学校の一角に嬉々として銀杏を拾いに行くほどの銀杏拾いたガールであり、さらに百合根や大豆も好きであると公言している。高校生でこれだ。酒呑みにならないはずがない。

 

 

さて、そんな志摩子さんなので、日本酒も東西問わずいろんな銘柄を呑んでいるし、冷やでも燗でもなんでも呑むオールラウンダー。料理と合わせて日本酒を嗜むスタイルなので、純米酒本醸造あたりを呑むことが多い。

 

無理を言って、志摩子さんに好きな銘柄を3つ選んでもらった結果が以下の通りとなっています。

 

  1. 豊盃(三浦酒造、青森県弘前市
  2. 鏡山(小江戸鏡山酒造、埼玉県川越市
  3. 宗玄(宗玄酒造、石川県珠洲市

 

 

こういう渋いチョイスをするんです志摩子さんは。

志摩子さんは一度日本酒を飲み始めると3合は呑むので、いろんな料理に合い、かつ呑み飽きない銘柄を好む傾向にあるようですね。

 

鏡山はもっとも銀杏に合う日本酒ということで、志摩子さんが太鼓判を推している銘柄です(ただし、別の機会に同じ質問をされたときに、澤屋まつもとと答えたり日置桜と答えたりするなど、その時々によってブレるので、鏡山でなければならないということはない模様。)

 

3つ目にランクインした宗玄は、旨味と甘味がガツンとくる、甘辛い味の料理によく合う石川の酒です。そう、志摩子さんの中の人・能登麻美子さんの故郷の酒というわけなんですね。志摩子さんの酒の好みに、このようなメタ要素が含まれているのは驚きです。能登さんはいいぞ。

 

完全に余談なんですけど、『宇宙よりも遠い場所』(通称よりもい)というおじさんの涙腺崩壊アニメがあるんですけど、そこに出てくる民間南極観測隊の女性隊長・藤堂吟も、中の人が能登麻美子さんなんですよ。名字が藤堂で、しかも中の人が能登さんって、「え?それ実質的に志摩子さんってことじゃない?」と気づいて頭が混乱したぞ

 

 

銀杏は殻付き派。その旨を父に話したら「殻が剥いてある方が食べやすいじゃないか」という正論を言われ、志摩子さんがたいそう怒ったというエピソードがあり、温厚で怒ることがほとんどない志摩子さんにおいて数少ないぷんすこエピソードとなっています。

 

 

居酒屋には一人で呑みに行く派であり、美味しい店のときは「今度は乃梨子を連れてきてあげようかしら」とか考えてニヤニヤと酒を呑んでいます。だったら乃梨子を連れてっておあげなさいよと思うかもしれませんが、乃梨子は長年の夢が叶って奈良の美術館で学芸員(仏像が専門)をやっているので、東京住まいの志摩子さんとはたまにしか会えないという事情があります。

 

志摩子さんは、殻付き銀杏と、半年後に会える遠恋中の乃梨子のことを肴に、今夜も人肌燗をちびちびやっているのでした。

 

 

 

 

 

 

 

2. 福沢祐巳

 

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本作の主人公。名家の生まれでも、取り立てて美人なわけでも、頭が切れるわけでも、誇れる特技があるわけでもない、どちらかというとお嬢様学校には似つかわしくタイプだが、持ち前の明るさと親しみやすさで、他のキャラクターたちの心をほぐすそんな人物だ。

 

そんな彼女なので、日本酒は飲むがそんなにこだわりがないし、一人で店に入ることも、宅飲みすることもまずない。

* 志摩子さんのときには「呑む」という表記にしていたが、祐巳の場合は「飲む」という表記に留めています。

 

先輩の佐藤聖様から誘われるか、妹(プティスール)である塔子と食事に行くか、同級生の志摩子さん・由乃とつるんで飲みに行くくらいなもの。銘柄にも頓着しないので、人と同じものを頼むか、勧められたものを素直に飲みます。

 

見かねた佐藤聖様から「祐巳ちゃんはさあ、どんなお酒も美味しい美味しいって飲むけど、結局どんなお酒が好きなの?」と聞かれたことがあるが、

「うーん、本当にどのお酒も美味しいんです。でも…あ、あまり偉そうなことは言えないんですけど、ここの酒蔵の人はこのお酒をこう飲んでほしいと思って造ったんだろうなあとか、うちの酒はここが美味しいんだ!っていう思いというか、そういうものが感じられるお酒が好きなんだと思います。さっき飲んだ射美なんて、大事に大事に手塩にかけて育てた愛娘って感じがして、すごくいいなって思いました。」

と答え、マリみての主人公かくあるべし、とマリみてファン一同を納得させたエピソードは有名。

しかし、射美を飲んだ後になんとなく名前が気になったという理由だけでいきなり達磨正宗の10年古酒を注文してしまうところがいかにも祐巳らしくて、山百合会のみんなは祐巳のそういうところが好きなんだよなあって、おじさんはしみじみ思うんだ。

 

 

なお、好きな酒の肴はフライドポテトであり、そのことを姉(グランスール)の祥子様からたしなめられることがあるが、そのわりには、わたしがフライドポテトを注文すると、お姉さまったら「あら、フライドポテト、いいわねえ。わたしにもいただける?」なんて言って嬉しそうに食べるんだから。ほんと、お姉さまって、普段は厳しいんだけど、時々可愛らしいところがあるんだから…///

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 島津由乃

 

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病弱な薄幸美少女はイメージだけの、池波正太郎を愛読する猪突猛進娘。

 

そんな彼女であるからして、日本酒の趣味は大変偏ったものとなっていることに、お姉さまである令様もちょっと心配しているんですのよ。

一言で言えば灘の酒至上主義者。この前、同級生の祐巳志摩子さんとでおでん屋さんに行ったんだけど、一杯目から剣菱を頼み、二杯目も剣菱(しかもとびきり燗)を頼み、三杯目は奥播磨を頼むみたいな、そういう酒の呑み方するんだわこの子。

 

見かねた令様が、たまには灘の酒以外も飲んでみたらどうかと説得を試みるんだけど、じゃあなに!?令ちゃんねぎま鍋に伏見の酒を合わせろって言うの!!!?とか言って突っぱねるのが常。ただ、リリアン時代から目の敵にしている田沼ちさとと久しぶりに会ったときに「灘のお酒って美味しいわよね」と言われたので、それがきっかけで灘の酒以外も飲むようになったとかならなかったとか。

 

池波正太郎リスペクトがいきすぎて、家では酒の肴にキューカンバーサンドを作るのが最近のお気に入り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

 

 

まだまだ語り足りないですが、マリみての魅力の2%くらいは伝わったのではないでしょうか。日本酒だけにね。

 

 

最後に、作中でも頻繁に歌われる、典礼聖歌407番『マリア様のこころ』の一節をもって、私のお別れの言葉とさせていただきます。

 

 

マリアさまのこころ

 

それはヘパリーゼ

 

信州旅行の土産を飲む④ 〜 いろんな真澄を飲み比べた

知名度でも製造量でも、真澄を醸す宮坂醸造が諏訪の五蔵、さらには信州の酒蔵を牽引する存在だろう。なにせあの協会7号酵母の発祥蔵である。

協会7号、好きなんですよね。あの清涼感のある吟醸香の黒髪ロング感。幅広い料理と喧嘩せず、しかし迎合はしない。口数は多くないけど、密かにしっかりと自分の芯を持っているような感じ。セーラーマーキュリーっぽくていいですよね。ちなみに皆さんはセーラームーンの中では誰推しですか?私はセーラーマーズのレイちゃん推しです。

 

 

宮坂醸造さんの代表銘柄である真澄は以前からよく飲んでいた。信州旅行の折にショップに立ち寄ったので、あらためて何本か買って飲んでみた。

 

 

□ 真澄 本醸造

 

協会7号酵母

精米歩合 60%

アルコール度数 15度

長野県産 美山錦

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協会7号のイメージが先行していつも忘れてしまうんだけど、真澄ってけっこう重厚さがあるんですよね。本醸造はそこに適度なキレと軽やかさが出ていて大変いい。中庸の手堅さ。

 

 

□ すずみざけ 純米吟醸

 

協会7号酵母

精米歩合 55%

アルコール度数 14度

長野県産 美山錦・ひとごこち

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酸味の効いた低アルコールの夏酒。軽めではあるけど、旨さが乗っているので、スイスイ飲むというよりあくまでも食中酒として。豚しゃぶを乗せた冷やうどん、あるいはレモンを絞ったカルパッチョ(ヒラメなどの綺麗系の白身よりも味の濃いヒラマサとかシマアジの方がいい)なんかが、酒のテンションとちょうど合うかな。

真澄のラベルについているQRコードを読み取ると詳細な解説を読むことができるので、私の感想なんかよりこちらを参考にしてください。

Suzumi Sake | QR Translator

 

 

□ 真澄 ①純米吟醸酒 真朱AKA / ②純米酒 茅色KAYA

 

山廃 純米吟醸酒
協会7号酵母
精米歩合 55%
アルコール度数 15度

長野県産 美山錦・ひとごこち

 

純米酒
協会7号酵母
精米歩合 70%
アルコール度数 14度

長野県産 美山錦・ひとごこち

 

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純米吟醸は協会7号らしい草っぽさの中にヨーグルトのような丸い酸の香り。複雑みがありながらも、キレよし。

純米酒は穏やかな酢エチ香。苦味と渋味のある印象的なアタックに比べて、余韻のあとぐされがなくライト。重厚なようなそうでないような、絶妙なバランス。

2本とも晦渋でいぶし銀の趣。燗につけても最高だろうが、小瓶で買ったので燗にできませんでした。なんで小瓶を選んだんだ俺は。

 

 

協会7号ってこういう酵母だよねっていうイメージが出来上がってるんだけど、宮坂醸造のお酒はどれも協会7号を使っていながらも多様性があって、協会7号ってこんなんだっけ?という驚きがある。あらためて宮坂醸造の懐の深さを思い知りました。

 

愛用している酒器について その2 〜 尾形アツシの無地刷毛目

5年くらい前、六本木の国立新美術館の地下1階のミュージアムショップで器の展示販売が時々行われていて、そこで展示されていた尾形アツシさんのぐい呑が気に入って購入して以来、愛用している。

 

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尾形アツシさんは、奈良県で作陶されている陶芸家さんで、土の風合いを素直に活かした、素朴ながらも凛とした作品を作られている。

尾形アツシ Atsushi Ogata - うつわ祥見 web shop

 

あまり焼き物に詳しいわけではないのだけど、粉引(こひき)や刷毛目(はけめ)がすごく好きなんですよ。粉引、刷毛目というのは、器の成形後、生乾きの状態で表面に白い粘土を塗ってから焼く技法、あるいはそれによってできた器。水に溶かした粘土を化粧土として、器全体を浸して付けるのが粉引、刷毛などで一部に付けるのが刷毛目。白磁が希少だった時代において白い器は憧れの対象で、白い化粧土を使うことで白く見せようとしたということらしい。

この尾形さんの器は、高台(器がテーブルに接する部分)や腰(高台のちょっと上らへん)に化粧土が施されてないので、無地刷毛目ということになるんですかね。刷毛目とは言いつつ、浸しているので刷毛の跡はない。

粉引や刷毛目は、器を形づくる土(原土)と釉薬となる白粘土とでは焼いた時の縮み具合が違うので、白粘土の層に貫入(釉薬の層に見られる小さなひび)ができやすく、そこから水が染み込みやすい。これを雨漏りといって、水の染み込んだところの色が変わって、その器の味になるわけです。以上『美の壺』の受け売りですありがとうございました。

 

 

まず上から見てみる。

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右半分が柔らかさと明るさをたたえているのに対し、左半分には影が差しており、全体として上弦の月のような趣を呈していて美しいですね。全くの余談ですが矢沢あい作品の中では『下弦の月』が一番好きです。

 

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貫入(表面のひび)が綺麗な模様を生み出しています。ガラス質の小さな固まりもいいアクセントになっていて、光が当たる角度によってはこれが光ってエモエモのエモ。

 

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化粧土の厚みにグラデーションがあり、原土が透けている部分の存在が、却って化粧土の厚い部分のぽってりとしたテクスチャーを引き立てている。高台に掛け流された化粧土が菌糸のような繊細な模様を作っていてこれまた美しい。

 

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この器は全体として端正で静謐な印象が強いが、高台のゴツゴツ感が面白い対比になっている。

 

 

 

上記の通販サイト見てたら欲しくなっちゃって尾形さんの粉引の茶碗も買っちゃった。いい年の瀬ですね。

信州旅行の土産を飲む③ 〜 黒澤 生酛

長野土産の酒も7割くらい飲み終えた。旅行で買った酒を飲み終わりつつあるとき、旅の思い出にも一区切りがついたような気がして一抹の寂寥を覚えるが、それも旅酒の味わいでありまた一興。まだ7,8本残ってるんですけどね。

 

今回の黒澤は長野土産で買った酒の中で唯一の古酒。寒くなる季節を待って開封

 

 

黒澤 生酛 純米穂積(BY2017)

アルコール 16.5度

米 ひとごこち(自社栽培)

精米歩合 70%

蔵付き酵母

日本酒度 +3

酸度 2.7

 

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飲んだ時点で2.5年古酒。けんちん汁に人肌燗で。

生酛らしい酸のなかに微かな熟成香がとても心地いい。口当たり柔らかく、余韻は強すぎず穏やか。ボディと軽やかさのバランスが絶妙。良い意味で中庸。

濃い料理にも、薄い味付けの料理にも寄り添ってくれる万能タイプ。晩酌のときにとりあえずこのお酒を合わせていたらすぐに空になってしまった。一升瓶で欲しかったわこれ。

本金の純米吟醸 雄町のボリューム感がちょうどいい

とっくの昔に飲み干してしまったけど、まだレビューしてないことに気づいたので慌てて書く。先日は白麹の夏酒をいただいたが、今回は雄町。本金の雄町は今回初めて飲む。

 

前回の夏酒の記事はこちら

 

 

 

 

本金 純米吟醸 雄町

アルコール 16〜17度

精米歩合 55%

岡山県産雄町

 

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以前飲んだ美山錦よりも香りのボリュームがふくよか。草や瓜科の野菜を思わせる本金共通の清涼感のある香りに、つきたての餅のような柔らかい香りをプラスした感じ。

舌触りは極めて滑らか。遠浅の海岸の波のように、ゆっくり味が広がっていって、ゆっくり味が消えていくシークエンスに心が穏やかになる。雄町って個性が強いからもっと爆発力のある使い方もできるのだろうけど、僕はこういうなだらかなテンションの雄町の酒に惹かれます。

イメージとしては「着痩せするタイプなのでパッと見ではそこまで大きいように見えないけどDカップ」です。ちなみに本金美山錦はB寄りのCです。現場からは以上です。

本金の夏酒『雨あがりの空と』

さて、今回の信州旅の一番の目的であった酒ぬのや本金酒造の酒についていよいよ書く。緊張で手が震えてきた(アルコール摂取したら治まった)。

酒蔵を訪問したのはちょうど夏酒が出荷された数日後という最高のタイミングで、蔵でも購入することができた。

 

本金がいかに黒髪ロング美少女かという話は過去記事で既に結構書いている気がするので、今回はシンプルに飲んだ感想のみ書く。

過去記事。

 

 

 

 

今回の夏酒はこちら。

 

本金 純米 『雨あがりの空と』

アルコール16〜17度

精米歩合60%

信州諏訪産美山錦

 

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爽やかに広がった青空と一緒に飲んでもらいたいと想いを込めて名付けました。

 

 

この夏酒は麹の半分に白麹を使用している。

酒ぬのや本金酒造 - いよいよ来週から『雨あがりの空と』出荷開始です‼️... | Facebook

 

最近の日本酒界における白麹さんの活躍は華々しいですね。そろそろ紅白のゲストとかに招かれるんじゃないですかね。

 

白麹の特徴といえばクエン酸のキュッとした酸だが、この夏酒はクエン酸をバリバリ効かせたのではない、穏やかな酸の効かせ方で、ちゃんと本金らしい緑を思わせる香りと空気感を出している。純米なのでグルコース感もあり。

 

白麹使用という本金のラインのなかでは特徴的なお酒だが、植物質や瓜のような青っぽい香り、幅広い料理に寄り添う柔和さと奥ゆかしさ、綺麗で滑らかだけど洗練されすぎていない適度な親しみやすさは、さすが本金。

 

結婚したいですね。