しらたまの飲酒ブログ

日本酒ばかり飲んでいたら、他の人は消えてしまった。別ブログではその辺の雑草とか採って食べてます→ https://shiratamarr-michikusa.hatenadiary.jp/

頭の悪いつまみが好きなのよ

啓蟄の候、ふきのとうが顔を出し、海では白魚が春を告げる時分である。

富山ではホタルイカが岸にやってきている。

初鰹はもうちょっと先か。

もう少し暖かくなれば筍が出る。

 

旬のものは美味い。

それでも、承知のうえで申し上げる。

 

頭の悪いつまみも美味い。

 

ここに言う「頭の悪さ」はジャンキーであることとほぼ同義で使っているが、あえて単純な味覚や不健康さを志向するような、意図されたジャンキーさを含意する。

 

頭の悪い食べ物を錬成するにあたり、東の横綱がとろけるチーズだとすれば、西の横綱はマヨネーズだろう。

 

焼いたスパムにべったりとケチャップとマヨネーズをつけるとか、カップ焼きそばにマヨネーズと胡椒を追加するとかである。

マヨアンチが見たら発狂するだろう。

※ 筆者はいわゆるマヨラーではないことは申し添えておく

 

あとは、私は酒の肴に目玉焼きを作るのだが、ケチャップとマヨネーズをかけると、品がない感じの仕上がりになってとてもよい。( さらにパルメザンチーズがかかっていたらなおよし)

目玉焼きに何をかけるかについてはいろんな宗派があるので、こんなことを言うと、塩派あたりから命を狙われるかもしれない。

※ 常にこんな食べ方をしているわけではなく、オリーブオイルと塩胡椒を振るときもあるし、ご飯のおかずにするときは醤油派であるので、その旨申し添えておく。また、私はケチャップ単体をかけることはないので、ケチャップ派の御仁におかれては共感を持たれると困る。あと、ソースかけるのだけはちょっとよくわからん。

 

 

さて、マヨネーズ系の頭の悪い肴にはどんな日本酒を合わせるか。

以前はよく悩んでいた問題だが、最近は白麹を使った酸が効いた銘柄が出てきているので、悩まずに済むようになった。

 

新政の亜麻猫以来、焼酎で使われる白麹を使った日本酒をよく見かけるようになったし、泡盛をルーツとする黒麹を使った日本酒も登場している。

クエン酸由来の酸味は、柑橘類に似た鋭さと爽やかさがあり、洋食なんかにもよく合う。

 

 

面白かったのが、ちょっと前に飲んだ白杉酒造(京都府京丹後市)の白木久ブラックスワン

黒麹の酸が冴えるが、旨味もよく乗っていてパワフル。

 

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3段仕込みの2日目には酵母を増殖させるために「踊り」という日があります。このミルキークイーンで造るブラックスワンでは、品温をあえて保ち、狂気なまでに踊り狂わせました。お米の甘さにクエン酸が溶け込む甘酸っぱい狂気な美味しさ。

 

山岸涼子先生のファンなんでしょうかね。

 

 

白杉酒造さんは酒造好適米ではなく主食用米のみを使っていて、米の旨味を活かしながら面白いお酒を造っているみたい。

 

味にボリュームがあるので、マヨネーズの味もしっかりサポートしてくれる安心感。

炭酸で割るとなお大衆居酒屋感が出て素晴らしい。

ハーゲンダッツに合う日本酒選手権

私はわりとなんでも酒の肴にする。

甘いものだろうが、ご飯ものだろうが、パンだろうが余裕である。

ただし、塩を舐めながら酒を飲むのはよくない。それただの塩味の酒やんけ。

 

 

仕事やら何やらでストレスが溜まってきたなと思ったら、夜な夜なハーゲンダッツで日本酒を飲む。

コレステロールアセトアルデヒドと引き換えに、私は心の安寧を得ている。

 

ハーゲン酒の話をすると「何て飲み方してんねんお前」という反応をされることがよくあるが、辛口の食中酒を合わせるわけではない。

ハーゲン酒の条件は下記のとおり。

 

ハーゲンダッツの乳脂肪に負けないコクと甘味の乗りがあること

 

ハーゲンダッツのもったり感と相性の良いテクスチャー(= とろみ)があること

 

個人的に重視しているのは条件②。

条件①はぶっちゃけ、酢酸イソアミルやカプロン酸エチルの香りのある甘口の酒を選んでおけば何とかなる。

一方、条件②の方は、ハーゲンダッツと酒のテンションというか波長が一致しているかという点を見るもので、ハーゲンダッツとの相性の必然性を測っている。

今付き合ってる彼女とそのまま結婚したいと思うかと聞かれると、別に全然ダメとかではないんだけど、笑いのツボとか金銭感覚とか違う点もあるし、結婚相手としてベストだとは言えないんじゃないかみたいな感じである。知らんけど。

 

 

今回は、自分の中での整理も兼ねて、ハーゲン銘柄を独断と偏見で紹介したい。

 

【注意事項】

  • フレーバーは、バニラ、マカダミアナッツ、クッキー&クリームを想定している。チョコレート、ストロベリー、抹茶に合う日本酒については筆者の研究の射程からは外れている。後続研究が待たれる。

 

  • 貴醸酒や古酒は詳しくないので今回対象外とした。今後の研究の課題である。

 

 

 

1. 片山酒造(栃木県日光市):柏盛 原酒 素顔

 

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栃木には、ジューシーさで名高い鳳凰美田、ワインのニュアンスを有する仙禽、洞窟熟成の東力士、近年知名度を上げている南国の果実感溢れる姿など、有力銘柄が並ぶが、ここは個人的な思い入れと紹介したみを総合判断して選出。

 

片山酒造をご存知の方はおられるだろうか。

ただでさえ醸造量が少ないうえ、直販を有力な販売チャンネルとしているため、地元以外の酒屋で見かけることはあまりないのではないかと思う。

日光に旅行を計画していた際に偶然見つけて、見学させていただいたのがきっかけで知った。

柏盛という名からも伺われるように、柏崎杜氏の出自。

 

もろみを袋詰めして袋を積んでいき、上から圧力をかけて搾る「佐瀬式」で造る原酒にこだわりを持つ。

搾りに時間がかかるし、歩留りが悪い(酒粕に酒が多く残る。その分酒粕が美味くなる)方法だが、もろみに圧力をかけすぎない分、雑味の少ない綺麗な酒になる。


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ハーゲンダッツに負けない華やかさと力強さがあり、しかし決して品は失っていない。

この酒のおかげで私はハーゲン酒を覚えた。

 

 

2. 尊皇蔵元 山﨑合資会社 (愛知県西尾市):奥 純米大吟醸 生原酒

 

愛知からは、大名クラスの醸し人九平次と迷ったが、ラベルが好きなのと、声優の茅野愛衣さんが日本酒を飲むだけのYouTubeの番組『かやのみ』の第三回で茅野さんが飲んでいたことを重視し選出。

 

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先日仙台に持って行ったときの写真しかなかった。

 

よく熟したマンゴーやパイナップルのような、グルコースの粘りをも思い起こさせるような福々しい香り。

そして、濃い。

ちびちび舐めるようにハーゲンダッツとのむのもよいし、ハーゲンダッツを食べ終わってから氷をふたかけら入れたものをデザート酒のようにすーっと飲むのもよい。

 

愛知の清酒・日本酒・地酒の通信販売【尊皇 尊王 幻々 奥 焚火】尊皇蔵元

 

 

3. 鶴乃江酒造(福島県会津若松市):永寶屋 純米吟醸 雄町

 

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甘味のある酒が多く、派手ではないが香気もよく、会津の酒はハーゲン酒としてのポテンシャルが総じて高い。

 

今回は会津中将という銘柄で有名な鶴乃江酒造さんから、永寶屋をチョイス。

 

この酒には、どこかエロティシズムがある。

(余談だが、「エロティシズムと言うよりもエロチシズムと言ったほうが官能的だ」と言っていた大学の友人がいた。彼は今どこで何をしてるだろうか。)

 

雄町で造った酒は、ボリュームというか肉づき感が特徴だが、この酒は味・含み香が口の中で立ち上がり、広がり、消えていく一連の流れがあまりにも滑らかで、女性の腰のラインと肌のきめ細やかさを想起させる。

この酒のリズムを邪魔しない肴を考えたとき、ハーゲンダッツという答えが自ずと浮かび上がってくるだろう。

 

https://www.tsurunoe.com

 

 

番外編. 恋人以上配偶者未満の銘柄たち

 

ハーゲン酒としてのポテンシャルはあるものの、私のなかでまだハーゲン酒としてピタッとはまっていない、再確認が必要なものを列挙したい。

 

- 風の森 純米大吟醸 (米の品種は任意)

  • 甘味旨味のボリューム感と、マスカットを思わせる爽やかな香りが良い。米感も強く、純米酒にある特有の苦味がハーゲンダッツと合わせたときにどんなニュアンスになるのか要確認。

 

- 陸奥八仙 (純米吟醸純米大吟醸かは任意。米の品種も任意)

  • 南国の果実感溢れる、デザート酒としてもいける酒。かなり婚期は近い。舌触りがどんな感じだったか、書いていて自信がなくなってきたので一応こちらに載せた。

 

- 亀泉 純米吟醸 原酒

  • カプロン酸エチル系の香りがむんむん。高知でこんな酒が造られていたのかと驚いた。味のボリューム感を要確認。

 

 

 

いかがでしたか?

 

今回はハーゲンダッツに合う日本酒をまとめてみました。

明日のことを考えると憂鬱になってくるそんな夜には、ハーゲンダッツで日本酒をカッとやって脳みそを停止させてみて下さい。

新澤醸造店さんの酒をしこたま飲む会 @ 仙台

北仙台『和酒バル 二喬/NIKYO』さんにて開催された、「伯楽星&あたごのまつを愛でる2020」に参加してきた。

ありがたいことに、3年連続でお誘いいただいた。

二喬さんのブログ↓

造り手との宴UTAGEvol.47ご参加の皆様ありがとうございました♪ #伯楽星 #あたごのまつ | 日本ワインWine・日本酒Sakeのコンシェルジュ-◇ryusei◇_nikyoの日々in仙台

 

愛知からわざわざ日本酒飲みに仙台に行くのかよと思った御仁もおられるだろうが、愛知から仙台なんてひとっ飛びですよ。

そう、Air Asiaならね。

エアアジア・ジャパンがセントレア=仙台線に新規就航 - トピックス | 中部国際空港 セントレア

 

2泊3日、初日は仙台在住のツイッターのフォロワーさんのお宅で酒をしこたま飲み、2日目は新澤醸造店さんの酒をしこたま飲み、最終日は酒屋で酒をしこたま買うという、寸分の隙もない旅程である。

 

かじかんだ手を股に挟んで温めるなどしながら、地下鉄で北仙台に移動。(愛知県民はあまり寒さに慣れておらず、かじかんだ手を股に挟みがちであることが一般に知られている)

北仙台駅から徒歩数分、レトロな雰囲気漂う仙台浅草。

二喬さんの暖簾をくぐる。

 

今年の会にも、新澤醸造店の敏腕営業・戸田さんが来てくださっていた。

会いたかった。

 

酒がサーブされる。

 

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酒の肴にセリと牡蠣が出てくるあたりが心憎い。

 

この日の酒はこんな感じ。

 

① あたごのまつ スパークリング

② 伯楽星 特別純米 (山田錦)

愛宕の松 特別純米 (山田錦)

④ あたごのまつ ひと夏の恋 純米吟醸 (ひとめぼれ)

⑤ あたごのまつ 限定醸造 純米吟醸 (ひとめぼれ)

⑥ あたごのまつ ささら 純米吟醸 おりがらみ生酒 (蔵の華)

⑦ 伯楽星 純米吟醸 おりがらみ生酒 (蔵の華)

⑧ 伯楽星 純米大吟醸 (雄町)

⑨ 伯楽星 雪華 純米大吟醸 おりがらみ生酒 (雄町)

⑩ シークレット枠: 10年寝かせた純米大吟醸 (雄町) ← ちゃんとメモるのを忘れちゃった

 

スパークリング。

よくあるスパークリング日本酒よりもずっとドライで、料理にもちゃんと合う味の設計。

 

伯楽星と愛宕の松を飲み比べていく。

歴史ある銘柄である愛宕の松(あたごのまつ)の方が、伯楽星よりも甘さのある設計て、グルコース感の人懐っこさがある。

伯楽星には、シュッとした爽やかさ。

 

10年寝かせの古酒はバニラのような芳しさで、熟成によりメイラード感やとろみが加わっても、綺麗な印象は変わらない。

 

⑤のあたごのまつの純吟は、四谷の地酒専門店『鈴傳』の限定品で、アメリカ人のサムさんが醸したもの。

味がわりとしっかり乗っていて飲み応えあり。

余談だが、サムさんは"なんでそんなに精米せなあかんねん"派の方らしい。

 

 

それにしても、新澤醸造店さんは、全国最年少杜氏の渡部七海さんをはじめとして若い造り手がいて、彼らがタンクを任されているからすごい。(私なんていい歳してエクセルに数字を打ち込む仕事しかしてない)

それが可能になる背景の一つには、新澤醸造店さんが使っているタンクが他の酒蔵と比べて小型だということがあるようだ。

タンクを任せてみて、出来上がったものを見て、愛宕の松と伯楽星どちらとして出すか判断する。

 

また、小さいタンクは醸造上のメリットもある。

発酵の過程で生まれる対流がタンク内に十分行き渡り、発酵が均質に進むため、余計な櫂入れをする必要がなくなる。

櫂入れのしすぎは、米が潰れ、必要以上の甘みや雑味が出る原因になるため、櫂入れを抑えることにより、濾過しなくても澄んだ酒質になる。

さらに、タンク(=ロット)が小さいからこそ、プライベートブランドを請負ったりもできる。

仙台市内のいくつかの居酒屋で飲める「酒場の純米大吟醸」は一例。

 

(以上、すべて戸田さんと二喬さんの説明の受け売りです、ありがとうございます)

 

 

伯楽星は新澤社長が就任した直後の2002年にリリースした銘柄で、「究極の食中酒」というフレーズは有名だが、飲み疲れしない酒を目指したのだという。

毎年、この会の前日にフォロワーと酒をしこたま飲むという謎の前哨戦があるので、会の当日には「…今日まじで飲むんか?」となるのだが、それでもこの会で最後まで美味しく酒を飲み終えられるのは、新澤醸造店さんのお酒だからこそだなあとしみじみ思う。

 

 

新澤醸造店さんのお酒を飲み干し、二喬さんの酒を追加で一杯いただき、お開き。

ほろ酔いの身体にみちのくの冷たい空気が心地いい。

冷えてきた手を股に挟みつつ地下鉄で青葉通りに移動し、ラーメンを啜って解散。

 

来年また来るぞ、仙台。

奥飛騨のカップ酒が美味い

先日、中部国際空港から家に帰る時にふと立ち寄ったコンビニで、カップ酒が目に留まった。

ほぼ初めてと言っていい程に、自らすすんでカップ酒を購入して飲んだ。

 

これには前日譚がある。

 

先日、伯楽星や愛宕の松で有名な新澤醸造店さん(宮城県大崎市)の酒を飲む会に参加するため、名古屋から仙台に飛んだ。

その会でお聞きしたのが、新澤醸造店さんが出している愛宕の松のカップ酒は、瓶詰めされている特別純米酒と中身が同じであるという話。

カップ酒を飲んだことはあるものの、自発的には飲んだことのないカップ素人童貞の身分であるため 、カップ酒がそんなに高いスペックでありうるとは思いもよらなかった。

 

カップ酒について無知であったことへの反省の念を抱え、名古屋への帰途につく。

空港に向かう前の仙台駅の酒屋で、早速カップ酒を買ってみようと思ったものの、結局、ふつうに瓶詰めされている伯楽星特別純米酒とあたごのまつ純米吟醸を買い、大満足で店を後にした。

中部国際空港に降り立ち、水を買おうとコンビニに入ったあたりで、そういえばカップ酒を買い忘れたことに気づいた。

コンビニの棚を見ると、奥飛騨酒造(岐阜県下呂市)の奥飛騨カップ酒。

 

 

奥飛騨は、純米酒をお土産でもらったことが一度あった。

それまで知らなかった銘柄だが、旨味ときれいさのバランスが程よく、燗につけるとおおらかに味が膨らみ、すごく美味かった。

公式サイト → http://www.okuhida.co.jp

 

さて、カップ酒を冷やして飲む。

 

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雑味がなくクリア。

特定名称酒である旨の記載はないが、本醸造だとしてもおかしくないくらいの品の良さがある。

甘辛い味付けの和食と合わせると、口がさっぱりしてよい。

豚の生姜焼きで白飯を食って、最後にカップ酒をクッと飲み干す。

 

 

本金という酒がある

日本酒は学生のころから飲んではいたが、本格的に銘柄を飲み比べるようになったのは6年くらい前か。

 

まだ日本酒初心者だったため酒屋に行くのは憚られ、デパ地下がメインの酒の購入場所だった。

当時東京にいた私は、仕事が終わるとよく銀座マロニエ通りをまろまろと歩いて、松屋銀座というデパートに向かった。

松屋銀座のデパ地下の日本酒売場はなかなか品揃えがよく、全国の銘柄がバランスよく置かれている。

日本酒初心者新春シャンソンショーであった私は、酒を選ぼうにも手掛かりがない。

どんな酒が飲みたいのか。

過去に飲んだ酒たちを思い返してみる。

なんとなく印象に残っていたのが京都の蒼空(そうくう)。

あんな感じの酒をまた飲みたいと思った。

店員さんに蒼空のような系統の酒がほしいとリクエストする。

 

「ボディが強くなくて米っぽいニュアンスのあるお酒ってことですかね〜」

 

なるほど、そのように表現すれば良いのか。

日本酒初心者新春シャンソンショーでシェイクシャック咀嚼であった私は、店員さんの語彙力に感心しながら、「はい、まさにそういう感じです」と適当な返しをして店員さんのレコメンドを待った。

そうして選んでいただいたうちの1本が本金(長野県諏訪市)だった。

 

※ ちなみに、他に勧めていただいたのが、鏡山(埼玉県川越市)と小左衛門(岐阜県瑞浪市)。

この2本もあわせて買ったが、どちらもとても美味しい酒だった。

 

本金を醸す酒ぬのや本金酒造は、1756年(宝暦6年)の創業。

「本当の一番(金)の酒を醸す」という思いが込められており、また、本金という線対称の漢字に「裏表のない商売をする」という思いが込められている。

家族で営む、小さな蔵である。

 

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無知な頃に撮った写真なので、米の品種など必要な情報を全く写せてないですね…。

 

 

この本金という酒は、とにかくちょうどいい。

単品で飲んでも美味いし、どんな料理ともよく合う。

香りは、炊きたての白米のような爽やかな甘さの中に、瓜の淡い香りを含めたような感じ。

純吟ということもあり線は細めだが、米の旨味が穏やかに広がる。

抜きんでた特徴はないが、いつでもゆるゆると飲み続けられる。

中庸の美とでも言えばよいのか。

とにかく、ちょうどいいのである。

わかりやすく女の子に例えると、田舎で垢抜けない雰囲気なんだけど、目鼻立ちは整っていて、口数は少ない方で、友達のそばで静かに笑っている、黒髪ロング(ロングと言ってもそこまで長いわけでもない。むしろセミロングと言ってもいいかもしれないが、どちらかというと小柄なのでセミロングの長さでも実質ロングくらいの印象を与える)の16歳の少女、といった感じか。

 

いろんな日本酒を飲んでいくと、「仙禽といえば酸」とか「米の旨味を味わいたいなら神亀」といったように、秀でた特徴で銘柄をカテゴライズできるようになっていく。

しかし、そういった客観的な特徴ではなくて、もっと主観的な「ちょうどいい」酒の基準は、人それぞれ異なるだろう。

私にとって、本金が「ちょうどよさ」の基準になっている。

 

 

追伸。

先日、仙台で約5年ぶり本金を飲む機会があった。

本金らしさはそのままに、大学に入って少し垢抜けたようなひとつまみの華やかさが加わっているような気がした。

このときのことはまた別記事で。