しらたまの飲酒ブログ

日本酒ばかり飲んでいたら、他の人は消えてしまった。別ブログではその辺の雑草とか採って食べてます→ https://shiratamarr-michikusa.hatenadiary.jp/

『マリア様がみてる』のキャラたちの日本酒の呑み方について

 

ご機嫌よう。

 

 

オタク文化の拡大と深化にしたがい、百合あるいはガールズラブというジャンルは、人口に膾炙するようになってきましたね。様々な人気作が出てきた今日においても、なお褪せることなく光を放ち続けている作品があります。そうです、百合コンテンツの金字塔、『マリア様がみてる』(通称マリみて)です。

 

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単純な少女同士の恋愛という狭い関係性にキャラクターを押し込めることをせず、尊敬、姉妹愛、憧れ、普通の友情、恋愛未満の友情と、様々な愛のかたちが繊細かつニュアンス豊かに描かれているのが、その絶大な人気の所以でしょう。

 

 

マリみては武蔵野にあるミッション系のお嬢様女子校・私立リリアン女学園が舞台です。主人公たちは当然高校生なので、作中に飲酒シーンは残念ながら直接的には出てきません。

しかし、実はマリみての主要キャラクターのほとんどが、成人してから日本酒呑みになっています。しかも、彼女たちの日本酒への向き合い方が、非常に彼女たちのパーソナリティを反映しているとの見方もあり、一部のマリみてファンによって考察が進んでいるところです。

 

 

 

今回は、マリみてのキャラクターたちを、日本酒というフィルターを通して眺めてみたいと思います。彼女たちが日頃どんな酒をどのように呑んでいるのかーーーそこから、本作の魅力を伝えることが本稿の試みです。

 

 

 

マリみてには、メインとなるキャラクター(= 「山百合会」と呼ばれる生徒会のメンバー)だけでもけっこうな人数がいるので、今回は試行的に、主人公の学年の3人のみに絞って見てみましょう。

 

スコーンとクロテッドクリームと日本酒を用意しながら、ゆったりとお読みください。

 

 

 

 

1. 藤堂志摩子

 

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いきなりですが、志摩子さんはマリみての主人公ではありません。マリみての主人公は福沢祐巳であり、志摩子さんは祐巳の同級生にして、山百合会のメンバー同士という関係。

 

何を隠そう、この志摩子さんは私のツイッターのアイコンの人です。

 

 

なぜ志摩子さんを最初に紹介するかというと、彼女がマリみてキャラ随一の酒豪だからであり、これはマリみてファンの誰しもが賛同するところとなっています。

ちなみに、志摩子さんと双璧をなす酒豪は、志摩子さんの1つ上の学年の支倉令様と言われており、中の人(伊藤静さん)が酒豪であることに鑑みても、この見解は真っ当なものであるように思われます。

 

 

志摩子さんは「フランス人形のよう」と称えられる美少女であり、同時にミステリアスで物憂げな雰囲気をまとっているけれども、その実は銀杏大好きっ子。秋になると昼休みに学校の一角に嬉々として銀杏を拾いに行くほどの銀杏拾いたガールであり、さらに百合根や大豆も好きであると公言している。高校生でこれだ。酒呑みにならないはずがない。

 

 

さて、そんな志摩子さんなので、日本酒も東西問わずいろんな銘柄を呑んでいるし、冷やでも燗でもなんでも呑むオールラウンダー。料理と合わせて日本酒を嗜むスタイルなので、純米酒本醸造あたりを呑むことが多い。

 

無理を言って、志摩子さんに好きな銘柄を3つ選んでもらった結果が以下の通りとなっています。

 

  1. 豊盃(三浦酒造、青森県弘前市
  2. 鏡山(小江戸鏡山酒造、埼玉県川越市
  3. 宗玄(宗玄酒造、石川県珠洲市

 

 

こういう渋いチョイスをするんです志摩子さんは。

志摩子さんは一度日本酒を飲み始めると3合は呑むので、いろんな料理に合い、かつ呑み飽きない銘柄を好む傾向にあるようですね。

 

鏡山はもっとも銀杏に合う日本酒ということで、志摩子さんが太鼓判を推している銘柄です(ただし、別の機会に同じ質問をされたときに、澤屋まつもとと答えたり日置桜と答えたりするなど、その時々によってブレるので、鏡山でなければならないということはない模様。)

 

3つ目にランクインした宗玄は、旨味と甘味がガツンとくる、甘辛い味の料理によく合う石川の酒です。そう、志摩子さんの中の人・能登麻美子さんの故郷の酒というわけなんですね。志摩子さんの酒の好みに、このようなメタ要素が含まれているのは驚きです。能登さんはいいぞ。

 

完全に余談なんですけど、『宇宙よりも遠い場所』(通称よりもい)というおじさんの涙腺崩壊アニメがあるんですけど、そこに出てくる民間南極観測隊の女性隊長・藤堂吟も、中の人が能登麻美子さんなんですよ。名字が藤堂で、しかも中の人が能登さんって、「え?それ実質的に志摩子さんってことじゃない?」と気づいて頭が混乱したぞ

 

 

銀杏は殻付き派。その旨を父に話したら「殻が剥いてある方が食べやすいじゃないか」という正論を言われ、志摩子さんがたいそう怒ったというエピソードがあり、温厚で怒ることがほとんどない志摩子さんにおいて数少ないぷんすこエピソードとなっています。

 

 

居酒屋には一人で呑みに行く派であり、美味しい店のときは「今度は乃梨子を連れてきてあげようかしら」とか考えてニヤニヤと酒を呑んでいます。だったら乃梨子を連れてっておあげなさいよと思うかもしれませんが、乃梨子は長年の夢が叶って奈良の美術館で学芸員(仏像が専門)をやっているので、東京住まいの志摩子さんとはたまにしか会えないという事情があります。

 

志摩子さんは、殻付き銀杏と、半年後に会える遠恋中の乃梨子のことを肴に、今夜も人肌燗をちびちびやっているのでした。

 

 

 

 

 

 

 

2. 福沢祐巳

 

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本作の主人公。名家の生まれでも、取り立てて美人なわけでも、頭が切れるわけでも、誇れる特技があるわけでもない、どちらかというとお嬢様学校には似つかわしくタイプだが、持ち前の明るさと親しみやすさで、他のキャラクターたちの心をほぐすそんな人物だ。

 

そんな彼女なので、日本酒は飲むがそんなにこだわりがないし、一人で店に入ることも、宅飲みすることもまずない。

* 志摩子さんのときには「呑む」という表記にしていたが、祐巳の場合は「飲む」という表記に留めています。

 

先輩の佐藤聖様から誘われるか、妹(プティスール)である塔子と食事に行くか、同級生の志摩子さん・由乃とつるんで飲みに行くくらいなもの。銘柄にも頓着しないので、人と同じものを頼むか、勧められたものを素直に飲みます。

 

見かねた佐藤聖様から「祐巳ちゃんはさあ、どんなお酒も美味しい美味しいって飲むけど、結局どんなお酒が好きなの?」と聞かれたことがあるが、

「うーん、本当にどのお酒も美味しいんです。でも…あ、あまり偉そうなことは言えないんですけど、ここの酒蔵の人はこのお酒をこう飲んでほしいと思って造ったんだろうなあとか、うちの酒はここが美味しいんだ!っていう思いというか、そういうものが感じられるお酒が好きなんだと思います。さっき飲んだ射美なんて、大事に大事に手塩にかけて育てた愛娘って感じがして、すごくいいなって思いました。」

と答え、マリみての主人公かくあるべし、とマリみてファン一同を納得させたエピソードは有名。

しかし、射美を飲んだ後になんとなく名前が気になったという理由だけでいきなり達磨正宗の10年古酒を注文してしまうところがいかにも祐巳らしくて、山百合会のみんなは祐巳のそういうところが好きなんだよなあって、おじさんはしみじみ思うんだ。

 

 

なお、好きな酒の肴はフライドポテトであり、そのことを姉(グランスール)の祥子様からたしなめられることがあるが、そのわりには、わたしがフライドポテトを注文すると、お姉さまったら「あら、フライドポテト、いいわねえ。わたしにもいただける?」なんて言って嬉しそうに食べるんだから。ほんと、お姉さまって、普段は厳しいんだけど、時々可愛らしいところがあるんだから…///

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 島津由乃

 

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病弱な薄幸美少女はイメージだけの、池波正太郎を愛読する猪突猛進娘。

 

そんな彼女であるからして、日本酒の趣味は大変偏ったものとなっていることに、お姉さまである令様もちょっと心配しているんですのよ。

一言で言えば灘の酒至上主義者。この前、同級生の祐巳志摩子さんとでおでん屋さんに行ったんだけど、一杯目から剣菱を頼み、二杯目も剣菱(しかもとびきり燗)を頼み、三杯目は奥播磨を頼むみたいな、そういう酒の呑み方するんだわこの子。

 

見かねた令様が、たまには灘の酒以外も飲んでみたらどうかと説得を試みるんだけど、じゃあなに!?令ちゃんねぎま鍋に伏見の酒を合わせろって言うの!!!?とか言って突っぱねるのが常。ただ、リリアン時代から目の敵にしている田沼ちさとと久しぶりに会ったときに「灘のお酒って美味しいわよね」と言われたので、それがきっかけで灘の酒以外も飲むようになったとかならなかったとか。

 

池波正太郎リスペクトがいきすぎて、家では酒の肴にキューカンバーサンドを作るのが最近のお気に入り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

 

 

まだまだ語り足りないですが、マリみての魅力の2%くらいは伝わったのではないでしょうか。日本酒だけにね。

 

 

最後に、作中でも頻繁に歌われる、典礼聖歌407番『マリア様のこころ』の一節をもって、私のお別れの言葉とさせていただきます。

 

 

マリアさまのこころ

 

それはヘパリーゼ