5年ぶりに再会した本金が綺麗になっていた
先日、新澤醸造店さんの酒をしこたま飲む会に参加するため、はるばる名古屋から仙台に飛んだ。
そのときの記事。↓
伯楽星・あたごのまつのほかにもう一つ、仙台の楽しみがあった。
本金である。
#二喬NIKYO_今宵の1杯
— 和酒バル二喬🍷仙台🍶多様性を大いに堪能しましょう (@dragonstar_k) 2020年2月8日
戦国時代の甲斐 #武田信玄 #武田勝頼 などにも想いを馳せる地・諏訪。偉大な湖に抱かれます。
《#本金 純米吟醸 信州諏訪産 #美山錦》は長野県の蔵元が送る数量 #限定 品。麦わらのような植物のアロマ、味わいスマートで後味も心地好い渋味♪ほのかに背すじが伸びる気分に。 pic.twitter.com/2sT77ZgefG
以前二喬さんにお邪魔したときに、私が本金が好きだという話をしたことを覚えてくださっていたらしい。
ホスピタリティの権化かよ…(本当にありがとうございます)
私の本金との馴れ初め、恋、離別については以前の記事に書いたとおり。↓
本金と再会は実に5年ぶりとなる。
再会とは、楽しみなものであると同時に、不安が伴うものである。
とくに本金に関しては、この5年間、飲みたい気持ちを温めてきたので、自分の記憶の中で肥大化したイメージが単なる虚像だったと、そんなことになりはしないかという一抹の不安がないわけではなかった。
さて、伯楽星もあたごのまつもしこたま頂いた。
いよいよ本金を注文する。
緊張の面持ちで酒を頼むおっさんの姿がそこにはあった。
そうだ。
この白地の和紙に金で書かれた、潔いラベル。
少しも変わっていない。
グラスに本金がサーブされる。
グラスを鼻に近づける。
真桑瓜や青林檎のような、控えめな甘さのなかに、青さと藁のような香ばしさの混ざった、心地の良い香りがやってくる。
私の記憶の中の本金はもっと抑えた香りだったので、少し意外な感に打たれた。
主張しすぎないところは変わらないのだが、ほんのわずかな艶やかさが加わったような、そんな気がしたのだ。
しかし、と、私は思いを巡らせる。
この前最後に飲んだのは、もう5年前なのだ。
5年前、本金は16歳の田舎の少女だった。
それが、いまや彼女は21歳だ。
この5年の間に、いろんなことがあったことだろう。
新しい環境での生活を始めて、自分の素質と、自分の限界を知ったことだろう。
故郷を恋しく思うこともあっただろう。
多くの出会いと別れを経験したことだろう。
戻らない過去を悔やみ、来るべき未来を早く知りたいと焦る夜もあっただろう。
人並みに恋をして、月並みな悲しみを知ることもあっただろう。
春は桜の色を頬に染め、
夏は百日紅の赤と夏空の青をまぶたの裏に映し、
秋は秋桜とともに風にたゆたい、
冬は牡丹に白い雪の日の暖を見出すーー
そんな季節の巡りを五度くりかえしたのだ。
垢抜けもするはずだ。
少女が大人になるのに、5年の月日は十分すぎるくらいの長さなのだから。
飲み終えて、しばし妄想に浸っていると、一緒に参加したツイッターのフォロワーが隣で他のお客さんとお話ししており、「ツイッターやってるんですね〜アカウント教えて下さいよ〜」というリクエストに対して「いや、目を汚すことになるだけなんでほんとに見ない方がいいです」と鉄壁の抵抗をしていた。
ともあれ、本金めっちゃ美味いんで是非飲んでみてください。